-ようこそ!ハロウィンの夜の世界へ-

♪~今宵は特別な宵の世界にご招待~♪

1.妖しい空2.天界に届いた光3.異世界への潜入4.宴の始まり♪5.交渉と反撃6.陣の開門7.さようなら8.楽しんで!
♪ハロウィン2014メニュ~♪
ヴァイオレット きょ、今日ってハロウィンですよね!?
ダンテ だからなんだ。
ヴァイオレット ハロウィンって日が暮れた瞬間、こんなに景色が一変する日なんですか・・?
ダンテ は・・・?
ヴァイオレット あ・・・あたりの空が真っ赤になってからすぐまた、あり得ない色になってますけど・・・。
ダンテ ・・・・・・・・。
ヴァイオレット ダ~~ンテ!これお外出ない方がいいですよね?ねっ?
ダンテ ・・・・お前そんな嘘を言ってルーミネイト様のお使いをサボる気だろ。
ヴァイオレット ・・・・・うへっっ!?そそそそんな!
ちがいますよぅ~~~なんならダンテもこっちきて見てくださいこの空の色と景色!
ダンテ 俺がそんなウソに毎回毎回だまされると思っているのか。
ヴァイオレット んもぉぉお~~~!本なんて読んでる場合じゃないですってば~~
―――――――――――ピンポーーーーーン――――――――――
ヴァイオレット ・・・・ぎょっっ!!?
ダンテ なんだ客か?珍しいな。
ヴァイオレット ダンテ~~~~~。
ダンテ お前が出ればいいだろ、どうせ極レンジャーかローザどもか或いは・・・・・ルーミネイト様・・・・、
ん!ルーミネイト様!?俺が出よう!(しゅぱっ・・!)
ヴァイオレット 移動早っ!
ダンテ (ガチャッ・・)(る、ルーミネイト様・・?)
ヨルネコ にーーーーーーん。
ダンテ ・・・・・・・。バンッッ!!!
ヴァイオレット あダンテ急にドア閉めちゃだめだってば。
ダンテ なんかわけのわからないネコがいた。
ヴァイオレット お客さんかもしれないじゃないですかぁー。
ダンテ あんなの客でもなんでもない。
ヴァイオレット あ、そういえば景色見ました?すごい色してたでしょ??
ダンテ あぁ?・・・景色?
ヴァイオレット えーーー気づくでしょふつう!あんな変な色の景色なのに!!
ダンテ ・・・・・・・。(がちゃっ・・:おそるおそるドアを開く)
ヨルネコ オマエタチヲ迎えにキタぞ。
ダンテ ・・っ!?(バンッッッ・・!!!:ドア閉める音)
ヴァイオレット え?なに?どうしたんですか??!
ダンテ すまない俺はどうやら疲れているらしい。
ということでだ、この報告書、代わりにお前が仕上げてくれ、完璧にな。
明日の朝までだ。俺は念のため休んでくる。
ヴァイオレット ・・ってなんですかソレーーーー!!!!?
ダンテ お前は日頃から俺のことを弟だと言い触らしているじゃないか。
兄貴だと言いたいならちょっとは兄らしいことでもしたらどうだ?
ヴァイオレット うっ・・!都合のいいときだけそゆこと言いますよねダンテって!
ダンテ じゃあな、俺は寝る・・・どうも視覚が・・・・・
・・・!!!!?ウワァアッ!?
ヴァイオレット え?なに??どうしたんです・・・・・いぎぇええッッ・・・!!?
ダンテ お・・・ま、ま、窓に・・!
ヴァイオレット ひえええええっっっ!!!?ぼ、ぼくにも見えてますよダンテ!!
ダンテ こんな夥しい数の化け物どもどこから来たっ!!?
ヴァイオレット だだだだ、だから言ったじゃないですかぁ~~!!外が異様だって~~!!!
え~~~ん!!どうしたらいいんですぼく!ぼくたち生け贄とかにされちゃうんですか!?
ダンテ 落ち着け。
このおかしな景色は幻覚じゃなかったのか・・。
・・・とすると、どこかで結界が破られたうえ異世界のゲートが開いたということじゃないのか?
ダンテ もしくは何か大きな罠にでもかかって、この建物ごとどこかに飛ばされたかだな・・・。
ヴァイオレット そんな冷静になってる場合じゃないですよ~!モンスターたちがこっちに押し寄せて来てます!
ダンテ ・・・なにッッ!?・・・いや待て、この建物には常時
邪悪な者は立ち入れないよう結界が敷かれてあるんだ。
奴らが簡単に入れるはず・・・・
ヴァイオレット あ、その結界今破られたみたいです。
ダンテ ・・・・・ハァ!?なんだと!!?
ヴァイオレット バリンってなんか割れましたよ今。
ダンテ ま、まずいな・・。ねらいはなんだ?俺たちか?いやコイツか??
ヴァイオレット ・・・・・・・・。
ダンテ ・・・・・・・・・・・・・。
ヴァイオレット 今!ぜったい!ぼくだけ外に放り出そうって思ったでしょ!?ぜったい思ったでしょ!!?
ダンテ ・・・まだなにも言ってないじゃないか。
ヴァイオレット あー!やっぱり思ったんだーー!!
ぼくぜったいお外には出ませんからね!むしろ天使としてはぼくよりダンテの方が
格上なんですからダンテがぼくを守ってくださいよー!!
ダンテ 自分のことぐらい自分で守れ。
ヴァイオレット わーひどいやー、弟ならがんばってお兄ちゃんをけなげに守ろうとしてみてくださいよー。
ダンテ そんなこと言ってる場合か!結界を張り直すぞ!手伝え!
ヴァイオレット ええーッ!?
さっきと言ってることがぜんぜんちが~~~う!
しばらく攻防を繰り広げるヴァイオレットとダンテとモンスターたち。
しかし多勢に無勢なモンスターたちの前に、ヴァイオレットとダンテは消耗していく・・・。
ダンテ ・・・・うっ・・・さすがに厳しいな。
ヴァイオレット ぼくもうダメ・・・・。
ダンテ はぁ??兄のくせに弟より先に倒れてどうする!!?
ダンテ ・・・・おい・・、ヴァイオレット?おい!!
ダンテ くそっ・・・・俺たちもここまでか・・。
ダンテ どうせ全滅ならば・・・せめて・・・・天界にこのことを知らせなくては・・・・。
ダンテ ・・・・こんな歪められた空間で、届くかどうかは・・・・・わから・・ないが・・・・グッっ・・・ゲホゲホッ・・・・。
モンスターたちがダンテに迫ってくる!
ダンテ ・・・・・ええい!!!邪魔だっっ・・・!
必死でモンスターたちを振り落とすダンテ。
ダンテ ・・・・・届け!届いてくれっ・・・!!
ダンテは胸のブローチを外し右手で大きく上に掲げる。
天に向かってブローチから光が放たれて、しばらくして光はあっけなく消えた。
モンスター ギャーーーッッッ!!!!
モンスターの1匹がダンテに飛びかかり、ダンテの背中を掻き毟った!
ダンテ グハッッ・・・!!!・・・・・・・ッ・・!!
ダンテは必死であらがいながらゆっくり意識を失った。
ヴァイオレットとダンテの消息が・・、そこで途絶えた。
―――――――――――――――――――――――――
――――――――――天界。
ダンテの最後の希望が、そこへ放たれた。光はどこまで、届いたのだろう。
―――――――――――――――――――――――――
歌天使りんご なんでしょうか?ルーミネイト様。
この天界で位のない私になにかご用でもおありですか?
ルーミネイト すまないね、りんご、そしてゼロ。
R0 僕がお役に立てることがあるならば、それは光栄です。
歌天使りんご ゼロ・・?(誰かしら・・)
ルーミネイト 君たち外部天界から来た者たちの力を借りたい。
歌天使りんご 私たちの力・・・?
ルーミネイト さきほど緊急信号が入ったのだが、
信号が乱れていて誰からのものかは特定できなかった。
ルーミネイト でもダンテからの定期報告が届かないことをみると、
そのことと関係があるんじゃないかと思ってね。
R0 ・・僕たちは何をすれば?
ルーミネイト ファーリリナと協力し、信号の発信元へ向かって何があったのか探ってほしい。
助けが必要であれば、ダンテを助けてもらいたい。
ルーミネイト あの戦闘力の高いダンテが緊急信号を送ったとなると、
何かとても危険なことが起こっているかもしれない。
ルーミネイト どうだい。私たちに協力してもらえるだろうか?りんご、ゼロ。
R0 ぼくはここへの協力は惜しみません。
歌天使りんご 私がさほど力になるとは思えませんが、
そうおっしゃるのならば、やれるだけはやります・・。
ルーミネイト それではよろしく頼むよ。どうかくれぐれも気をつけて・・・。
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歌天使りんご どうも・・・はじめまして。
R0 はじめまして!
R0 ・・・・どこの天界から来られたんです?
歌天使りんご モンデイ・デュタ天界から・・・。あなたは?
R0 ぼくはリンドルから・・でも、ぼくの天界は滅びてしまって・・・。
もう二度とあんな絶望はゴメンなんだ。
歌天使りんご 貴方から、なにか強い意志が感じられたのはそのためですね。
R0 フフ、失って初めて気づくこともたくさんあるんだ。
R0 何かが滅びに向かっている時っというのは、みんながみんな、正気じゃない。
R0 何か本当に大切なものを、全員が見失って、病んでしまっている。
どんなに声を張り上げても、多くの人は盲目のまま破滅へと向かっていて、
ぼくはそれを止められなかった。
R0 世界すべてが病んで、正しい目を取り戻すことが出来なかった。
惑星の住人は希望を捨て、自分自身と世界を見捨てた。
R0 彼ら一人ひとりが選んだ道は、滅びの大渦はあまりに大きすぎて、ぼくにはどうしようも出来なかった。
R0 僕はあの大渦の前で、とてつもなく無力だったんだ。結局みんな、滅びてしまった。
R0 たとえ彼らが選んだ道だとしても、ぼくは助けたかった。
少しでもいい、わずかでもいい、何かを救いたかった。
心なしか、ゼロの目は潤んでいた。とてもつらそうで、とても悲しそうだ。
歌天使りんご (・・これが彼の強さ。悲劇が、想いが、彼をこんなにも強くしてるのね。)
ファーリリナ ごめんなさい遅れてしまって。向こうのゲートを開く準備を手伝っていまして。
歌天使りんご ・・どうもはじめまして・・。
R0 あ・・・はじめまして!
あわてて目をこすり笑顔で挨拶するゼロ。
ファーリリナ ゲートの準備が整いましたわ。急いで向かいましょう!緊急信号が発信された場所へ。
歌天使りんご はい・・!
R0 (うなずく。)
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――
R0 じゃあ、ファーリリナさんはルーミネイト様と同じ上級天使だったんですか。
ファーリリナ あの・・・いえ、ひとくちに上級天使と言っても実力は様々ですから。
ファーリリナ 私の場合、一生懸命目の前の任務をこなしているうちに、
あるお方の目にとまってそれで・・。・・・運が良かったのです。
お茶目な顔で苦笑するファーリリナ。
・・だが次の瞬間空気が一変する。一同顔が瞬時に引き締まった。
歌天使りんご あれは・・!
ファーリリナ 巨大な空間が渦を巻いて聖なる者の進入を邪魔していますわ。
R0 すごい力だね。
ファーリリナ 私が強行突破します。
R0 えっ・・!
歌天使りんご ・・では、私が援助します。
R0 じゃあ、ぼくは空間の安定化を計ろう。
瞬時に各々の役割が決まり無駄のない動きと連係プレイで巨大な空間への進入を試みる3人。
とても大きな渦が、3人の素早い対処でみるみる大人しくなり、やがて彼女らは空間への進入に成功した。
歌天使りんご やった・・。
R0 見て、2人とも。すごい数だ。
ファーリリナ これは・・・・。
空間を突破した3人に待ち受けていたのは夥しい数のモンスターたち。
歌天使りんご 一体どうしたら・・。
ファーリリナ こんな数と戦っていては目的を果たす前に力尽きてしまいますね。
R0 表面だけでも彼らと同化しよう。
いつか気付かれるかもしれないけど、彼らの邪気に紛れ込めれば、
しばらくは身動きがとれると思う。
R0 表面の振動数を低下させます。
ファーリリナ お願いします。
歌天使りんご おねがいします。
ゼロは沢山の装置を出現させ、3人にレーザーを当てた。表面がゆがみ始め、3人の聖なる気の放出が止まった。
彼らはモンスターたちと同じ気配を放つ同化に成功した。
ファーリリナ モンスターの群れに潜り込みましょう。
歌天使りんご はい。
R0 了解。
3人は素早くモンスターたちの大群と混じることに成功した。とりあえず、気付かれてはいないようだ。
歌天使りんご ダンテさんはどこかしら・・。
ファーリリナ 気配が小さすぎるのか位置がつかめませんね・・・。
R0 それにしても・・・(上を見上げるゼロ)
歌天使りんご すごい、黒いものたちがお空でダンスしてる。
わっかを作って、まわって、離れて、またくっついて。
R0 ここはたぶん、恒星に対して自転軸がほぼ90度に傾いた惑星。
・・・・そして今いるのは永久に日の光が当たらない夜の世界側。
歌天使りんご ここって・・・すごい密度・・。いつもこうなのかしら。
コウモリが竜巻を作り、空ではゴーストと黒い生き物が群をなして笑い、踊り、
地面ではモンスターたちの夥しい数で大行進している。
歌天使りんご この地響きのようなものはもしかして歌声・・・、
・・この群が少しずつ動いているのはもしかしてパレード?
R0 どこかへ向かっているのかな?
歌天使りんご あっ・・・!?
りんごが声を詰まらせ小さく驚く。
りんごの視線の先にいたのは・・・・・りんご。
パレードの群れの中にりんごは自分自身と瓜二つの姿を発見したのだ。
群の中のもう一人のりんごはピエロの姿で、黒い皮膚をして、果物を沢山抱えて、こちらを見た。
歌天使りんご ・・・・おひとついかが?
歌天使りんご いえ・・・・。
りんごは混乱し、鼓動が高鳴っている。
どう対処したらいいのか・・・これは何なのか。なにもわからなかった。
歌天使りんご ・・・・・・・。(にこ・・)
ピエロ姿のりんごはただ怪しく微笑んでいた。
同じとき、ゼロもファーリリナも同じように、自分自身の姿を群の中に見た。
それぞれが驚きを隠せず、言葉を失ってもう一人の自分自身を見つめるしかなかった。
もう一人の自分の姿に意識を持っていかれている間に、群の行進はある地点まで来て止まった。
ジャック やあや!今年のお客さんは豪勢だねぇ!
魔女 パピルンもうタイクツ~~~!!!
ジャック だあいじょぶ!冥王との契約で、今日は大暴れ出来るんだからねっ!好き放題しちゃいなよっっ!!
魔女 ぷぷぷっ!そーねぇ~~~!じゃみんな逆さ吊り~~~にしちゃおっっ!!☆☆
群の先では親玉らしきモンスターたちがなにやら騒がしく盛り上がっていた。
最初に我に返ったのはファーリリナだった。
ファーリリナ あっ・・!
ファーリリナはもう一人の自分に、ある恐ろしいものを差し出され、
過去の記憶に無理矢理引きずり込まれた。
そこで、自分を再び取り戻すと、我に返って自分が今モンスターの群の中にいることに気付く。
ファーリリナ りんご、ゼロ・・・!
2人に呼びかけるが応答がない。
この空気に蔓延する禍々しい気がそうさせるのか、
りんごもゼロも何かに囚われてしまっているようだった。
ファーリリナ さすが・・・この世界の歪んだ空気は凄まじいですね。
ファーリリナ あ・・・あれは・・・!
ファーリリナは群の先が騒がしいことに気づき、
その群の先頭に、ダンテとヴァイオレットの姿を見た。
そしてダンテとヴァイオレットは包帯でぐるぐる巻きにされ、
ぐつぐつ茹だっている鍋の中へとつっこまれようとしている。
ファーリリナ いけない・・・!
ファーリリナは瞬時に天使の姿に変化した。
その光によってモンスターたちが一斉にそちらを向いた。
ジャック ゲゲーーーッ!!なんだよもー、今年も妨害者かい?
今から面白いところなんだよ?わかるよね?
魔女 わかってないみたいよ~ん☆
ジャック とりあえず君たち儀式が終わるまで防いでてよ。
カボチャがそう言うなり沢山の黒いカゲとモンスターが一斉にファーリリナに襲いかかる。
バチッ!!とすごい閃光を放ちモンスターたちは気体となって消えてしまった、が。
ファーリリナ まぁなんてこと・・・!
消えたはずのモンスターたちは満月の光ですぐさま元にもどってゆく・・・。
ここは彼らの世界。彼らが一年に一度だけ、心ゆくまで蘇り続け、活動できる、最高で最悪の祭典日。
数が多すぎるうえ、すぐさま復活するモンスターたちに手を焼くファーリリナの横で、
包帯でぐるぐる巻きにされたヴァイオレットとダンテが鍋の中へつっこまれた。
魔女 なにつくるゥ~?
包帯男 お菓子?魔王?化け物?カカシ?
ジャック カカシいいねーッ!それにしよっ!
魔女 エエッ正気ィ~~!!?フツーすぎてツマンナイっ!
ジャック じゃ~ぁこんなのでっ!イケッ!!
モンスターたちが一斉に歌いだした。
ウブダラブラダ~~~。ハロウィンの夜~♪
何でも叶う♪何でも出来る♪何もかも忘れて欲望のまま♪
オレたちゃ全能にして~~~オレたちゃ不死身~~~!!!!♪♪
楽しいことが大好きで~~楽しけりゃ何でもイイのさ♪なんでもアリなのさっっ♪
農夫も警察も聖職者も犯罪者も、子供も大人も今日はなんにもしがらみなんてナイッ♪♪
そう今日はハロウィンだから~~♪
何もかも忘れて、自分が誰だかも忘れて~~そう楽しけりゃすべてOK!
すべてがアリアリなんだぜ~~~♪♪
歌が始まると、惑星の反対側、昼の世界で日食が起き始めた。
牢に囚われていた者が脱走し、パン屋さんも犬も、鍛冶職人も、仕事を放り出して家を抜け出した。
どんちゃん騒ぎが始まって、食べ物を投げる人や昼寝を始める人、大声で叫ぶ人など、
それぞれ好き勝手をはじめ、もう町はめちゃくちゃ。
でも彼らは心のどこかで望んでいた。
もっと好き勝手に生きたい!もっと自由に生きたい!捕らわれのない場所で自由に生きたい!
それらどこかにあった皆が持っていた願望が、欲望が、夜の世界の住人の歌で吹き出した。
おじさんが叫ぶ。今日は好きなだけ酒を飲むぞー!金が無くなろうがしったこっちゃねえ!
お姉さんが叫ぶ。今日は好きなだけ美味しいものを食べるの!!もう体型なんて気にしないわ!!
わたしは私でいいのよ!!!
一方で感情のぶつかり合いも激しく始まっていた。
お前が毎日毎日俺に不平不満をぶつけるから俺がこんなに醜くなったんだぞ!!!
なによ、アンタよりもっとカッコいい人と結婚出来たのに、
こんなグズ亭主と結婚したせいであたしの人生台無しよ!すべてを返してッッ!!!
抑制していた栓がとれ、あるものは大笑いし、あるものは怒鳴り、あるものは大いに泣いていた。
そしてそんなことどこ吹く風というように、寝ている者も大勢いた。
普段隠していた感情が、きれいに取り繕っていたものが、すべてはずれ、外に放たれた。
吹き出した。それは感情の渦となって世界を強く揺さぶった。
ジャック ハッハハハ!!!ケッサクだねぇ~~~!!人間どもってば!
魔女 ニンゲンがこの夜の地を捨ててはや300年。世界の表側では大混乱~~~♪♪♪
ゴースト カカシのカンセイ~~~
ジャック おっ!どれどれ。
鍋の中から包帯でぐるぐる巻きのヴァイオレットとダンテが取り出された。
ゴースト ホドケホドケ~
ゴーストが包帯をくわえ、ぐるぐると回って解いていく。
魔女 ひゃおっ!!
ジャック んん~~~いいんじゃない?
中からは一段と強そうな巨大で真っ黒なカカシが姿を表した。
ファーリリナ そこまでです・・・!
狼男 なんだァ・・?
ゴースト ゲゲゲ~アレアレ・・!
気づくとあたりにはファーリリナの敷いた方陣が張り巡らされ、
陣の上ではモンスターたちの復活が妨げられていた。
狼男 ゲッ・・!なんだアイツ!?あんな変なモンで俺たちの邪魔しやがって・・・
魔女 せっかくのハロウィンの夜なのに~~~なんてことすんのぉっ!
ジャック まあ、せっかくなんだし、遊んであげようよ。
ほら、つよ~~いカカシたちも君と遊びたいってサ!
魔女 あはははははは!味方同士でやっつけ合えばいいわッ・・!
モンスターたちの猛攻撃が更に強まりファーリリナを襲う。
ファーリリナは1つずつ片付けてゆくが、ハロウィンの夜は彼らモンスターに圧倒的に味方していた。
ファーリリナは周囲を黒い化け物どもに何十にも囲まれてもう姿が見えない・・。
もともとヴァイオレットとダンテだったカカシたちもそれに加勢する。
ジャック ・・・ケケ、いいね、そのままそのまま・・・。
パルム ナカマ・・・ひとり、増えるぅ~~~???
狼男 増えるんじゃねぇか!ギャハハハハハ!!!!
魔女 あはははははは!
高笑いが空に響く、満月も、木も、ゴーストたちも、影も、みーんな嗤ってる。
ハロウィンの夜。死者が徘徊し、邪悪なものがうごめく夜。
ーみんな欲しがってる。・・冥界に連れてくナカマを。
ファーリリナにモンスターたちが寄り集まって、大きな黒い塊がどんどん大きくなる。
それを楽しそうに眺めながらダンスするパンプキンのお化けと魔女と狼男たち・・。
ーそこに。
ザッ・・・と、影がひとつ。
歌天使りんご ・・・・・増えませんよ。
狼男 ・・・・・ア?
R0 ・・・・できた・・・ファーリリナのお陰で・・ハァ・・・ハァ・・。
歌天使りんご ・・・・これが何だかお分かりですか?
ジャック ・・・・・・・・・・。
ジャック 陣を全部つなげて・・・・何しようっていうのかなァ?オジョウサン。
・・楽しいショーでも見せてくれるの?
歌天使りんご ヴァイオレットさんとダンテさんを元に戻してください。
さもなくばこれで冥界の扉を開き、あなたたちを強制的に元の世界に送ります。
魔女 あははははは!何いちゃってんのォ~?そんなすごいことアンタたちに出来るわけないじゃーん。
ジャック ケケケ!ボクらせっかくこの宴を楽しんでるんだ。そんな物騒なことはよそうよ。
歌天使りんご ・・・・それでは扉を開きます・・。
ジャック ・・・・話通じないなぁ~~。
・・・わかったわかった。カカシたちを元に戻せばいいんでしょ?
魔女 ジャック・・!どうせウソだってばぁ~~~
ジャック ・・でも戻すのはハロウィンが終わる頃にね。ちゃあんと戻してあげるから。
それまでボクらと遊ぼうよ?せっかく一年に一度のパーティーなんだ♪
歌天使りんご そうですか・・・残念です。
両手を広げて構え、陣を発動し始めるりんご。
ジャック ・・・ケケ。・・・・わかったよ。カカシたちを元に戻してアゲル。
ボクたちも最後までハロウィンを楽しみたいからねっ!・・パピル、みんな。
ジャック (ごにょごにょ)・・・・・・OK?
ゴースト オーケー・・・
魔女 ・・・・・・・・むー。
ジャック ・・・・じゃ・・・戻すよ、みんな準備いい?
パルム イイヨー!!
ジャック ・・・・スリー・・。
ジャック ・・・・・ツー・・・。
ジャック ・・・・・・ワンッ・・!!
その瞬間・・・・りんごとゼロを更に巨大な黒い陣が取り巻いた!
歌天使りんご ・・!?・・これはっっっ・・・・!!!?
魔女 あはははははっ!アンタたちもうこれでみんなアタシの下僕~~~~!!
ゴースト ヤタ~~~~♪♪
R0 すっごい巨大な陣だ・・・これでぼくたちを呑み込む気なんだ・・。
歌天使りんご 私達の陣が黒の陣に呑み込まれて行きますっ・・・!!
ジャック わからないかい?ここはボクたちの世界なのサ!
どんなことが起こっても、ボクたちは自由を謳歌できる。
魔女 アンタたちがアタシたちに勝てるわけナイナイ~~♪♪
狼男 良い宴だったゼ~~~!!サイナラ~~~~ッッッ!
R0 あらかじめそこら中に陣が敷き詰めてあったんだ・・。それらを全部発動させてこんな巨大なものを・・・!!
歌天使りんご ・・・・・どうすれば・・・。
包帯男 ナカマ?ナカマ増える♪
狼男 オウ2匹もなァァッ!!!
魔女 いけぇ~~~っっ♪♪
狼男 ギャハハハハハハ!!!
ゴースト ケケケケケ・・・・
魔女 あはははははは~~~っっ!!
モンスターたちの力で黒い陣は一気にりんごたちを呑みこんでいく。
必死で抵抗するりんごとゼロだが呑み込まれるスピードのほうが圧倒的に速かった・・。
真っ黒い陣が夜の闇を、地面を、りんごたちを、 すべてを覆い尽くそうとした、
ファーリリナ ・・・そうはいきません。
歌天使りんご ・・・・ファーリリナ・・!!!?
魔女 わおっ!なにアイツ!
ゴースト ナカマノコウゲキカラヌケダシタ~
狼男 見ろよアレっっ!!!!
ファーリリナは急速に黒の陣に呑み込まれかかった自分たちの陣を書き換えて行く・・・。
それをりんごが援護し、ゼロが黒の陣の侵食を遅らせる・・。
魔女 ・・・・・アイツら何する気?
ゴースト ワカンナイモノニカワッテユク~~
ジャック ・・・・その前に呑み込んじゃえばボクらの勝ちサッ!
狼男 ギャハハハハハハ!そうだゼェ!!!!
魔女 あはは、何やってももう遅いの~~~♪♪
ファーリリナ ・・・そんなことはありませんよ、・・・行きます。
・・・その瞬間、ファーリリナは両腕を大きく広げ、天使の翼を開いた。
ピンク色にほんのり染まった優しい翼があたりを覆う。
呑み込みかけていた黒の陣が激しい音を立てみるみるうちに振り払われていく。
魔女 ・・・・・まさかぁ!そんなっ!
狼男 なんだァ!!あのスピードはよォオ!!!!
ファーリリナ ・・・・・・・・・Re vilrs。
魔女 ・・・・・あ・・アレなに???
狼男 門だ・・・・だが冥界じゃねェ!!!
ジャック あ・・・・・まさか・・・
ファーリリナ 天界の光よ・・・私達を照らして。
天界のゲートがゆっくりと開き、
中からものすごい量の光が化け物たち目がけて降り注いでくる。
魔女 きゃあああああああーーーーーー!!!アタシたち・・・焼け焦げて・・・・死んじゃうゥ!!!!
狼男 冥界の拷問よりタチがワリィゼ・・・!!!!
パルム ヤダヤダァ~~~~イタイノヤ~~~~~!!!!モットタノシイノガヨカッタ・・・・
ジャック ケケケ・・・しくじった・・ね・・・・・
見たこともないような至高の光は、
化け物とこの地を覆うように、容赦なく一斉に、残酷なほどの速さで降り注いできた・・!
・・化け物達が恐怖と苦痛の顔に変わっていく。

光に呑み込まれれば、
至上の激痛と、苦しみとで焼き焦がされるのだ。
聖なる者にとっての浄化の光も、化け物にとっては凶器でしかなかった。
ファーリリナ ・・・・それっ
ジャック ・・・・!?
ファーリリナが急速に光をひとつにまとめてゆく、
・・・・そしてその光は鋭い刃となって、・・・・ある化け物を貫いた!
ジャック ・・・・・・・!!!!
ファーリリナ 元に戻って・・!
光が貫いたのは2体のカカシだった。
光に貫かれたカカシはたくさんの光にまとわれて・・・・
・・・姿が変化してゆく・・。
歌天使りんご 私が光の力を安定させます!
R0 ぼくはカカシたちの光を適合化させよう。
瞬時に援助にまわるりんごとゼロ。
3人の力と天界の暖かく大きな光によって、徐々に、徐々に、
・・カカシが元の姿へと変容していく・・・・。
そしてそれを、呆然と見つめるモンスターたち・・。
ジャック ・・・・・・・・・・。
魔女 ・・・・・・・・。
狼男 ・・・・・・・・・・・・・。
ジャック ケケケ!面白いショーが見られたね!
お陰で面白い感情が蘇りかけたよ。
魔女 アンタたち何なの!?あんな巨大な門ここに呼び出すなんてっ・・!!
パルム ・・・こわかったー。こんなのひさしぶり。
ジャック いつぶりだろうね、・・恐怖なんて。
狼男 思い出したくねぇモン思い出させてくれたみてぇだな。
ゴースト ・・・プププ・・・・ビックリ・・・・・
・・・そんなとき、お空に小さく、渦が出来始めた。
狼男 ・・・・あーあ、ケッキョク・・時間じゃねぇかヨォ・・・
魔女 えぇ~っ!?もう冥界に帰らされるのぉ~~!?
ジャック ・・・・お迎えが来たね。さぁさ!パーティーはオシマイだよ。みんな帰ろう!
魔女 もうちょっとでアイツラも冥界に連れて行けたのにぃ~~!!!
包帯男 ケケケ・・・ザンネン・・・・・
ニカニカ妖しく笑っていた満月はゆっくりと姿を消し、
沢山のモンスターたちが冥界の門に吸い込まれていく・・・。
辺りを覆っていた沢山の混沌の渦が綺麗に取り払われ、そこに静寂が戻ってきた。
やがて冥界の門が閉まり・・ほんのり暗さが和らいだ。
その大地の上にぽつんと残った、3人の天使と2つの点。
歌天使りんご ファーリリナ、どうして天界の光でモンスターたち全部を浄化しなかったの?
あのまま光を降り注げば、すべてを浄化出来たはず。
ファーリリナ あれが・・・あの天界の光が、彼らにとってどれほどの苦しみと痛みを伴うものか・・
私は長い間見てきました・・・。
ファーリリナ 力だけで何かをねじ伏せるのならば、それは悪魔たちのやり方と同じ。
なるべくならば・・・それはやりたくなかったのです。どうしようも無い時も沢山ありますけれど・・。
ファーリリナ 天使たちはいつも冥界の近くまで降りて行って、悪魔たちに呼びかけを行っています。
ですが彼らは聞く耳を持とうとはしません。私達と彼らでは、根本的な、考え方が異なっているのでしょう。
ファーリリナ 如何なる約束も、交渉も、和解も通じない相手でも、天使たちは諦めることをしません。
そしてその想いは私も同じ・・・。
ファーリリナ ですが今回は、カカシのまま夜が明けると、彼らを永遠に元に戻せなくなる気がして・・急いでしまいました・・。
R0 あんな大きな魔法を構築したのは初めてだったよ。ふふ。
歌天使りんご すごく大規模な戦いでしたね・・。
ファーリリナ お2人のお力のお陰で乗り切れたのですわ。ありがとうございました♥ふふふ。
3人が和んでいる横で、2つの影がむっくり目を覚ます。
ダンテ ・・・なぁ、おい、ヴァイオレット、なんだこれは・・。
藁や木の屑が体中にくっついているぞ。
ヴァイオレット 体のあちこちがカユい・・!あうノミがいっぱい・・・!
ダンテ 化け物どもはどこ行った?・・・いやそれより、 あれ、ファーリリナじゃないのか・・!?
ダンテ あの戦闘力の高いファーリリナが駆り出されたとなると・・・相手は相当厄介な奴らだったんだな・・。
ヴァイオレット ファーリリナ?
ダンテ (ハッ・・!)こら、様をつけないか!
ヴァイオレット え・・・??でもさっきダンテ、ファーリリナって呼び捨てで・・・・・あぎゃっ!?
ファーリリナ お元気そうで何よりです。(にっこり)
ダンテ この度は・・私の力及ばぬばかりに、ファーリリナ様にまでご迷惑をお掛けしてしまい、
面目次第もございません・・・。
ヴァイオレット ダンテ・・・あし、・・・足どけて・・・・・イダイ。
ファーリリナ ダンテさん・・・足、どけてさしあげて。
ダンテ ん?ああっ・・・、すまない、疲労から来る目眩でつい。大丈夫だったかヴァイオレット・・!
ヴァイオレット (何この良い子モードのダンテ・・!!!!)
ダンテ それにしても何故、俺達はここに・・。
R0 君たちはあの建物の中にいたのかな?・・・建物の周りに巨大な陣の跡があるね。
ヴァイオレット わぁ・・・ほんとだ!
ダンテ ・・・とすると、俺達は建物ごと飛ばされてきたのか・・!なんて大掛かりなことを。
・・・・しかし何故俺達が狙われたんだ・・?
R0 ・・・それは・・謎ですね。
歌天使りんご 心当たりはないのですか?
ダンテ あるわけ無いだろう。というか俺じゃない。
どうせこっちの半天使のせいじゃ・・・(ハッ)
・・あいえ、 心当たりなどあるはずも無いでしょう・・。
ヴァイオレット (あ、さっきファーリリナさんの存在一瞬忘れてた!)
ファーリリナ なにはともあれ、天界に帰りましょうか。準備も出来ましたので。
ダンテ (はっ・・いつの間に!)ファーリリナ様に帰還の準備をさせるなど、
気が付かず申し訳ございません!
ファーリリナ いいえ、お疲れでしょうから休んでいてくだされば良いのですよ。
ヴァイオレット (わぁ~すごいや、ファーリリナさんの方が疲れてそうなのに。
ダンテとちがって天使っぽい~)
ダンテ (なんだ・・気のせいか?
さっきから半天使から小憎たらしい視線を感じるのは。)
ファーリリナ ・・・では帰還します。
歌天使りんご 補助しますね。
R0 ぼくも。
ーーーこうして、4人の天使と1人の半天使は天界へと帰っていったのでした。
数日後、このハロウィンの夜のことを、みんなすっかり忘れていたのです。・・そう今年も。
・・・・・そしておそらく来年も・・。
―――――化け物たちが跳梁跋扈する1年に1度だけのハロウィン。
さて来年は、どんなことが起こるのでしょう。。
彼らはその時を、首を長くして待っています。
いつも人間たちを面白可笑しく冥界から覗きながら・・・。
ジャック ケハハハ!楽しい夜だったね!今宵もありがとう半天使たち。
ジャック 来年は、もっと盛大な宴を準備してアゲル!
ジャック それまでに、たんまりお菓子を用意しといてね。
そうじゃなきゃ・・・・君たちをお菓子に変えちゃうヨ!☆
ジャック さあ、ハロウィンを楽しもうぜっ!ケケケケケケケケッ!!
The END。

【あとがきトーク】