|
来たわね~みんな! |
|
なんだここは・・・。 |
|
わ~屋台がいっぱい!夜店きらきらですね~!! |
|
天使ハルフェさんたちが協力して人間界の夏祭り・・のようなものを再現して、 みなさんを招待してくださいました。 |
|
夏祭りはいいが・・・・この人数でいちいち行動するのか? |
|
え? |
|
ふふーーー何人いるかな?? |
|
数えるのもめんどくさいわ。 |
|
にじゅう・・・にんくらい~たぶん。 |
|
本日はお招きありがとうございます。 |
|
ありがとーーー!! |
|
とかいいつつここどこだかよくわかんねえけどさ。 |
|
ここは天使ハルるんたちが作った夏祭り世界だよ~☆楽しもーねっっ!☆☆ |
|
お・・・おう? |
|
帰ってもいいですか? |
|
どうしてぇ~~~ |
|
人ならざるものが沢山いる気が・・・ |
|
幽霊とか!!? |
|
いや天界の住人たちだろ。本当に好きだな。幽霊。 |
|
そ・・そんなことありませんよぉ~・・・そ、それより!
ここにガイドブックがあるんです。まずは・・・日本のお祭りによくある、金魚すくいとかいうのをやってみませんか? |
|
え、これタダでやっていいって言ってるぜ!?まじかよ!天界サイコー!! |
|
あっきもやるぅ~~ |
|
しかしよく作ったものだ、この空間。本物の人間界のようだな。 |
|
うん。彼らがおもてなししてくれるっていうから来てみたら、
こんなにがんばって作ってくれてたなんてね。 |
|
でも、大勢の生き物がいすぎて何がなんだかごちゃごちゃしてるじゃない。
一体どれだけの住人を呼び寄せたんだか。 |
|
半天使あたりが一番に迷子になるんじゃないのか。 |
|
・・・そういえばレッドたち、さっきまで金魚すくいのお店ではしゃいでたのにいないよ? |
|
・・・はぁ。半天使より先にアイツらか。 |
|
その半天使クンもいないけど。 |
|
・・・・・・・。 |
|
あ、あんたたちはまだいたんだね、ネイビーとピンクとパープルを見失ってしまってさ・・ |
|
・・・・・・・・・。 |
|
あ、ダメだよ。今ダンテ帰ろうとしたでしょ。 |
|
俺は探さんぞ!一体全員で何人いるかも把握しきれてないのにだな・・・ |
|
その辺ぶらぶら楽しんでたらそのうち会えるかもね? |
|
・・・・はぁ。 |
|
ちなみに半天使クンにプラスして、ローザとりんごも見あたらないけど。もうどうでもいいわよね。 |
|
なにぃっっ・・・・! |
|
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー |
|
あら・・ほかの天使たちが見当たらない。 |
|
大勢の往来で、はぐれてしまったんでしょうか。 |
|
まあ!みなさまごきげんよう! |
|
ファーリリナ! |
|
お久しぶりです。
・・またこのメンバーで会えるなんて。 |
|
ファーリリナ・・・浴衣姿綺麗。 |
|
みんな浴衣という衣装で揃えてるんだね。 |
|
よくわからないけど、招待状に添えてあったガイドブックにこういう格好で来てね、と書いてあったから。 |
|
あら、あそこには・・・ルーミネイト。 |
|
あら・・・ |
|
本当に沢山の人や天使が来てるんだね。 |
|
・・・やぁ・・・ファーリリナ・・・それと、・・・・。 |
|
りんご・・・プリトナです。 |
|
ゼロ・・・R0です。こちらの天界にお世話になっております。 |
|
・・・うん。2人とも、いつも天界のために尽力してくれてありがとう。 |
|
私は何も・・ |
|
まだこれからです・・・ひとつの良き導きになれるよう努力します。 |
|
うん、これからもよろしくね。
私はこれから"わたあめ"というものを堪能してくるよ。
それじゃあまたね。 |
|
またのちほど♥ |
|
わたあめ・・・何かしらそれ。 |
|
ふわふわで密度の低いざらめ糖を用いた甘い食べ物らしいよ。 |
|
もちろん似せて作ってあるだけで、人間界のものとは少し違いますけれどね。 |
|
・・・・わたあめ・・。 |
|
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・ |
|
な、なに、ものすごい轟音! |
|
きゃーー!あれ悪魔の軍勢じゃない!? |
|
そんなぁ・・・どうして!!? |
|
こんなとこでのうのうとお祭り気分かい?いい気なもんだな! |
|
ここはもともと俺たちの領域に近い場所。天使等が大勢押し掛けて騒がれちゃたまんねえんだよ!! |
|
あ・・・・。 |
|
ピシッッッ・・・・・!!!! |
|
空間が悪魔の領域に呑み込まれた・・ |
|
やっほーーー、出てきてあげたよ。お呼びじゃないかと思ってね。 |
|
あ。 |
|
あれ、片羽ちゃんたちじゃないやー。
この空間、進入者防ぐために複雑化しすぎなんだよね。
勘が鈍っちゃうじゃんもー。 |
|
・・・・・。 |
|
・・・てか君だれだっけ?片羽ちゃんの仲間? |
|
えいっ! |
|
ドゴァアアっっっっ・・・!!!! |
|
・・・っっぶな!!いきなし攻撃・・!?
でボクの質問はスルー? |
|
悪魔と話すことは何もありません。ガッ! |
|
のぁぁあわわわ。もう容赦ないな。 可愛い女の子の姿してそんな荒っぽい攻撃はよくないよ~? |
|
問答無用。ガッ!ズガッッ!! |
|
おっと・・よっと・・・ふぅ、君の攻撃パターン読めてきたかも。 ふふん♪ど~ぉする~?? もう君の不意打ち当たらないかも! |
|
・・・・・。(タタッ・・) |
|
・・・ってえええ!?ちょっと急に逃げるって何さ!
ボクのこと無視?無視する気!!?ちょっと・・ |
|
そそくさと立ち去るりんごを追いかけるパトリ・・ |
|
・・・む。ついてこないで。 |
|
君ってばさー、何考えてるのかわっかんないんだよね~、 片羽ちゃんの心読むのはラックショーなのにさ。 |
|
(どうでもいい・・) |
|
ねえね、そんなに急いで・・・・どこいくのっかな!?えいっ!!(ゴゴッゴアアアア・・! |
|
すごい音とともに、パトリの魔法で頑丈な高い壁がりんごの前に現れる。 |
|
・・・ガスッ!(右手で壁をぱーーーんち!) |
|
ガラ・・・ガラ・・・(りんごの一撃で崩れ始める壁) |
|
・・・・・うっそーーーーん。 |
|
パトリちゃん。 |
|
・・・ん? |
|
アナタの好きなコ見つけちゃったっ♥ |
|
片羽ちん?今はそれどころじゃなくってー |
|
あら・・ウワキ中?♥ |
|
そんなとこ~、だから邪魔してくんないで。殺しちゃうよ。 |
|
でもあのりんごって子、もうとっくに別空間へ移動しちゃったみた~~い♥ ウフッ、ザンネン♪ |
|
・・・・・・。ワザとやったんだな。 |
|
・・・なんのことォ~~??? |
|
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー |
|
う~ん、・・・・ねむい。 |
|
・・・な!あそこにいるのは・・!? |
|
半天使クンいたの? |
|
死神レナシーとかいう大災厄! |
|
へー、ふつうの女にしか見えねえ!いっちょナンパしてみっか! |
|
は?ちょっと待・・・! |
|
なんでレッドだけいるんだか。 |
|
しかたないだろ。はぐれたり再会したりしてるうちに段々変なメンバーに・・。 |
|
ごめんねぇ~~~ん♥♥レッドさん以外見失っちゃってえ・・♥♥ |
|
・・・・・・・・・。し、仕方ないだろ。 |
|
・・・まあいいけど。あ、レッドがいつものようにフられたみたいよ。 |
|
待てっ。逃がすな。追いかけろ。 |
|
はぁ・・・まったく。ナンパ男その2ってやつ? |
|
なにっ・・!!消えただとっっ!! |
|
ナンパ男その2もフラれたってわけね。 |
|
ぐぅぅぅぅ~~~~~フラれた・・・・!!ちきしょ~~~~~~~!!!!!!! |
|
きっとどこかにいるはずだ。奴の気配を辿って追いついてみせる。 |
|
くっそー・・・・しかたねぇ、次がある!!!! |
|
案外ダンテの方が女々しいのかしら。 |
|
あらぁ、ダンテさんがどこかへ行っちゃうわん。 |
|
もう追いかけるのも面倒ね。放っとけば。 |
|
次こそはぜってー成功させ・・・・ |
|
させ・・・・・・・。・・・・・・ん?? |
|
でも急に暗闇に変わっちゃってびっくり~ |
|
どうせ悪魔どもが悪さでもしてんでしょ。 |
|
こここ・・・これはもしや・・・・・・ゆ、ゆゆゆゆゆゆゆゆ・・・・・夢にまでみた・・・・・・・・ |
|
ハーレム!!!??? |
|
くそぉ見失った!! |
|
アアアアア!!!!!! |
|
・・・な、なんだ、いきなり変な声を出して!? |
|
お。・・・・おれの・・・ハーレムがっっ・・・!!!!! |
|
お帰りダンテ。帰ってこなくてもよかったんだけど。 |
|
お帰りなさ~~~い♥♥ |
|
ーーこうして、レッドのハーレム状態は3秒で終わった。 |
|
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー |
|
うお~~~~ん、どこですかここ~~!!? |
|
落ち着いてヴァイオレット、悪魔が空間をめちゃくちゃにしてるんだよ。 |
|
Zzzzz....Zzzzz... |
|
アレガさ~ん・・!こんなとこで寝ないで・・! |
|
気持ちよさそう。ぼくも寝よっかな。 |
|
イコンまで!!?あ、じゃあぼくも・・。 |
|
・・・ってそーじゃないですよね?これってぼくたちが なんとかしないといけない事態っぽくないですか?? |
|
わあ、ヴァイオレットはまじめだね~ |
|
そ・・そうですよ、ローザ先輩がぴんちかもしれないし・・・! |
|
・・・ローザ?・・・・ふふっ。
ヴァイオレットはほんと、ローザのことを慕ってるんだ。 |
|
え・・?・・・あ、いいいえ、そのあの・・・・・・ |
|
がんばって、騎士さん。お守りに補助魔法かけてあげる。 |
|
そういうとイコンはにっこり微笑んで、両手でゆっくり円を描く。 |
|
わぁ・・・・あったかい、なんですかこれ。 |
|
じゃあいっておいで。騎士さん。ぼくはアレガと一緒にここでまってるから。 |
|
ええー、イコンも一緒に行きましょうよ~ |
|
・・・ふふ、ぼくにもいろいろ事情があってね。今回は一人で頑張って。 |
|
・・・?・・・よくわかんないけど・・・・ローザ先輩だけでも探し出してきます! |
|
がんばって~ |
|
ヴァイオレットの姿が見えなくなった途端、悲しそうな表情のイコン。それを知ってか知らずか、アレガは横で狸寝入りをしていた。 |
|
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー |
|
え~~~い☆☆ |
|
でや~~~~~ |
|
・・・・・・・・。 |
|
う~ん、悪魔たちってばほんとイタズラ好きよねぇ~、こ~んなに空間をめちゃくちゃにしちゃって~ |
|
何もかもめちゃくちゃ・・・スリリングです。 |
|
あ・・・誰か来た。 |
|
・・・あれ?ここにもりんごはいなさそうだね・・。 |
|
急に見失ってしまいました・・不覚ですわ。 |
|
あら~ファーリリナ様~ごきげんよう~♥ |
|
まぁ♥ローザ!ごきげんよう・・♥♥ |
|
にこにこ・・♥ |
|
にこにこ・・・♥♥ |
|
なんですかこの空気・・・ |
|
・・・仲睦まじい・・。 |
|
あれ、なんか天使がこっちにやってくるよ。 |
|
・・・ごめん。みんな。 |
|
ハルフェ!大丈夫だった? |
|
なるべく沢山の天使を招待してにぎやかに楽しんでもらうつもりだったんだ。 |
|
だけどその中に堕天使が混じってたみたいで・・・、堕天使が悪魔を呼び寄せちゃったみたい。ごめんよ。 |
|
うふふ♥みんなこうして無事だから気にしないで☆☆ね? |
|
ええ。あなたのお陰でとても珍しい体験させていただきましたわ♥ |
|
・・それにしても、はぐれた仲間たちが心配だね。 |
|
そうですね、こう混乱した空間だと、気配も辿れませんし・・。 |
|
とりあえず、悪さをしてる悪魔たちの親玉を見つけだしてなんとかしないと・・・ |
|
じゃ、私たちも手伝うわ☆ |
|
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー |
|
・・・・はれ? |
|
・・・・あら。 |
|
・・・・・・・・・・・・・・。 |
|
・・・・・・・・・・。 |
|
・・・・・・あ、あの、ローザ先輩・・・知りませんか・・・? |
|
・・・・知らない・・。ごめんなさい。 |
|
い・・、いえ、いいんです。知らないならそれで・・・。 |
|
・・・・・・・・。 |
|
・・・・・・・・・・・・・。 |
|
・・・・・・・。 |
|
あ、ええとぉ・・・・。 |
|
・・・何か来ます。 |
|
ーそう言うと同時に巨大なシールドを展開するりんご。 |
|
・・・・ゴガガガガガゴゴゴゴゴゴッッ!! |
|
うひゃああああっっ!!!? |
|
・・・・な、なんですかさっきの?!すっごい破裂音が・・・。 |
|
ふと見上げるとりんごが巨大な薄緑のシールドで外からの攻撃を粉砕していた。 |
|
・・・・え、え???いったい何が・・・ |
|
ビ~~~~~ンゴ!!2匹同時にゲットぉ~~~~♪♪ぼくちんついてるゥ~♪ |
|
しつこい悪魔・・・・。 |
|
パトリ・・・! |
|
悪口は小声じゃなくて大声でいいなよ赤髪の子!(バリバリバリ・・・!)ドカン!!! |
|
(ギュルギュルギュル)・・・・ウルサい。 |
|
パトリとりんごはふつうに会話しながらどでかい攻防を繰り広げていた |
|
(ギギギギギ・・・。)ククっ、それにしてもさぁ、赤髪って、異端の象徴みた~い。
何で好き好んで赤髪?魔女狩りのよ~に阿鼻叫喚の中焼き尽くされてみる? |
|
・・・・・・。 |
|
・・・あ、赤髪の人にしつれーですそれ。 |
|
ヴァイオレット。 |
|
あ・・はい。 |
|
相手にしないの。相手は感情を貶め逆撫でて、自分を見失うのを望んでる。 |
|
・・・・あ・・・う。 |
|
・・・・冷静ぶっちゃって。ほんとーーは隠してるくせに。見えるよぼくには。君の、恐怖!(ガッッッ!!! |
|
うっ・・・ |
|
猛攻撃に少し吹き飛ばされるりんご。 |
|
・・赤髪は、誇りと、信念のしるし。
麗しき赤は美と情熱。誰にも曲げることの出来ない信念。例えどれだけ踏みにじられようとも。それは汚れることなく生き続ける。 |
|
私たちは自分自身に、誇りと信念を持って生きているの。誰に汚されることも、貶められることもない、誇り高い存在なのよ。 |
|
どんな個性も、どんな色も、どんな髪も。そうあなたたちも! |
|
・・・・うっげぇ・・。 |
|
パトリの猛攻撃が一瞬止んだ。 |
|
ぼくそういうの大っきらい。美化ってやつ?
美しいことばで飾りたてちゃってきっも~~~い!! |
|
その言葉の裏にある醜いおまえを見せてみなよ!! |
|
そして再び始まる猛攻撃、続く攻防。 |
|
・・・・。 |
|
・・・あれ、ぼくって・・・、お呼びじゃない? |
|
ガガガガ・・・・・!!!! |
|
スゴゴゴッッゴゴゴゴ!!!!! |
|
あ・・・なんかりんごさんだけですっごく間に合ってそうですよねぇ~?
主人公が活躍しない展開とかアリですかぁ・・??? |
|
ギギギギギガガガガアア!!!!! |
|
ドゴドゴドゴドゴ・・・!!!! |
|
・・・って聞いてないですよね、ええそうでしょうねぇ~。 |
|
・・・・・・・・・。 |
|
・・・・・。 |
|
よぉ~し、今のうちにローザ先輩さがしにいこ~っと・・・・・。 |
|
それはダァ~~メ♥ |
|
え、誰ですか?? |
|
キミがうわさの片羽クン?鈍くさくってダッサ~イ感じだから間違いないよね~? |
|
ほ・・・ほんと悪魔っていちいち失礼・・・ |
|
ウフッ♥ごめんごめん~~♥♥
でもローザって天使ならぁ~さっき悪魔が魔界へさらっていっちゃったけどぉ~?どうするゥ~~?? |
|
あ、悪魔典型のウソですよね、ぼく魔界生活長いんで。それじゃ。 |
|
待ったぁ~☆ |
|
・・・・え? |
|
ライカの合図と共にヴァイオレットの周りに鉄格子が現れ彼を取り囲んで覆った。 |
|
な・・・なんのまねですか・・。 |
|
アナタ半分天使なんでしょ~?
煮て焼いて食べちゃおっかな~☆☆ |
|
特に天使の羽、私が独り占めなんてオイシそう♥♥ |
|
うう・・・いつも魔界でやられてるパターン・・・・。 |
|
じゃあとりあえず~半天使クンは化石になっちゃって☆☆ |
|
・・・えっ・・・!!!!? |
|
ヒュイヒュイヒュイヒュイ・・・・・ズゴーーーーーーーーーーーーン・・・!!!!!! |
|
けたたましい音と共に辺り一面ライカの攻撃の影響を受けた。 |
|
ちょ、横から邪魔しないでくれるライカ。・・うわっ |
|
バシッ!よそ見なんて余裕あるんですね。 |
|
あはは!すっかりぼくに夢中? |
|
っ!? |
|
ーその時、ライカが放ったはずの攻撃がそのままライカに反射して・・・・ |
|
きゃあああああああああっっ・・・!!!!! |
|
・・・! |
|
・・・・!? |
|
灰のように黒くなって力無く地面に叩きつけられたライカ。 |
|
・・・・。 |
|
・・・・・・・。 |
|
パトリはいったん攻撃をやめて状況を把握しようと撤退の姿勢を見せた・・・。その時。 |
|
・・・・・ゆるさない。 |
|
ライカ? |
|
許さない許さない許さないーー・・・・!! |
|
あたしをコケにしたらどうなるか、思い知らせてやるからーっ・・・! |
|
・・・はぁ?ちょっ・・ムキになんのやめろってば・・・!メンドイ奴!そんなデカい攻撃放ったらぼくたち全員・・・! |
|
いけない・・・・まに・・・・あわない・・・! |
|
ライカのでっかい攻撃が大きなひとかたまりとなって集まり、この空間ごと何もかも破壊し尽くそうとしている。 |
|
・・・・ぼくしっらな~~~い! |
|
パトリは一目散に一人だけ逃げた。
りんごは防御壁を必死で作るがライカの巨大魔法に追いつけない。 |
|
いっっけええええええええ~~~~~!!!!! |
|
・・・・・! |
|
・・・・あたりは一面真っ白になった |
|
りんごは自分が無念だった。守りたいものが守れなかった。
赤髪の赤は彼女にとっての誇りそのもの。
生きてきた信念。正しき心。 どんなに踏みにじられても曲がることのなかった、本当の、強さ。
彼女だけが知っている、誇り高き象徴。 |
|
―――――うたが、でなくなるの、ときどきこわい。
うたが、枯れちゃう。
豊かな泉が、ぽつんととぎれて、ハーモニーと調和から切り離される。
ひとりぼっち。
とたんにあたりはまっくらで、なにもみえないの。
とたんになにもかも不安になってすべてこわくなる。
でもいつもそばにいて、それをみつけだすのはじぶん。
はげまして、ゆうきをだして。かなえられるのはじぶん。
そうなんにもこわくないから。さあ歌いましょう。
自分をさらけだすの。もう何もおそれなくていい。
わたしがまもるのよ。すべて。大切なものすべて。 わたしがまもる。わたしが癒す。私が奏でる!
|
|
決意の赤髪がはためいていた。 |
|
その時、中央でゆっくりと何かが光り始めた。 |
|
mel ck rzlo pi ---zalisgh fju------ |
|
io az gea pe quenra ah vcix-------- |
|
言葉はわからないが振動から伝わるメロディーはとてもやさしかった・・。
小さなひかりがゆっくり暖かい光となって太陽のように姿を現した。
その傍らで、密かにルーミネイトとファーリリナたちが補助をしてくれていた。
りんごから発せられるやさしい光は
ルーミネイトやファーリリナたちの暖かい補助の力と合わさり、
ゆっくりと空間を修復していった。悪魔たちは一目散に逃げてゆく。
歌はつづく。やさしくゆっくりとつづいてゆく。
自分の音色で、気取らず焦らず、ありのままの声で。
自分のなかにある、ちいさな愛を、世界に行き渡らせる。
おびえながら、頼りなく、ゆっくりと、でも確実に。やさしく。
ファーリリナはうれしそうだった。誇らしげにりんごを見ていた。
ルーミネイトは懐かしそうに笑っていた。
息を潜めてあちこちで身を隠していた天使たちは あたたかい光に包まれた空間で一気に元気を取り戻していた。
もう逃げ隠れしなくていいんだ!悪魔どもは去った!ぼくたちは自由だ。
ほっとして、安心して、各々、にっこり笑ってちょっと賑やかになる。
ある者は踊りだし、ある者はもとのお祭りを楽しもうと空間修復を手伝いはじめる。
光は大きな空間まるごと飲み込んですべてを包み込んで修復し、癒し、与え、 あったかくしたあとに、すぅーっと小さくなり最後はりんごの中に戻った。
りんごの横には半天使ヴァイオレットがちょこんと倒れていた。
|
|
・・・・・・・ん・・・。 |
|
・・・・・あれ・・・・・。
・・・・ぼく、・・・気絶してた・・・?? |
|
・・・・えと・・・・どうしてぼくここに・・・・・・・。 |
|
はっ!そうだった!確か悪魔にすっごい攻撃されて気絶して・・・・!!! |
|
あれ・・・。何ともない?あれ?あれ?? |
|
・・・・ありゃ・・・空間も・・・なんともない、お祭り・・・夜店・・・・・・。いつも通り。 |
|
・・・・ぼく途中から夢でもみてたのかな?? |
|
なんかすっごく心地よいものに抱かれてた気がするんですけど・・・ま、いっか。 |
|
・・・・。 |
|
あ、りんごさん。あのぉ~ローザ先輩知りませんか?・・・・って寝てる!? |
|
・・・すやすや・・・。 |
|
あらあら、彼女は私がお運びします。 |
|
私も・・、お祭り堪能できたし、そろそろ帰ろうかな。 |
|
・・・・・・・! |
|
それじゃあ、ごきげんよう、ヴァイオレットさん。 |
|
ヴァイオレット、また後でね。それじゃあ。 |
|
・・・・・・・。 |
|
・・・・・・・・ぼくまた夢でも見てるんでしょーか。
さっきファーリリナ様とルーミネイト様が・・・。
大天使が2人もそろって・・・。 |
|
・・・ふるふる。じゃなくって!ローザ先輩探さないと・・・・ってあれ、なんでローザ先輩探すんでしたっけ?? |
|
・・・んまあいいや、ローザせんぱ~~~~い!どこですかぁぁ~~~!? |
|
・・・・・・・・・。 |
|
・・・・・・。 |
|
いけ好かないな。アレ。何もかも台無しだ。 |
|
次の機会があるっショ!めげないめげない! |
|
・・・・ふん。 |
|
みんなが再びはしゃいでいるその裏で2人の堕天使が密かにそう言いその場を去っていった。 |
|
ーーーー一方、休んでいたりんごのところへお見舞いにきた天使たち。 |
|
りんごは、大きな魔法を使いすぎだよ。 |
|
・・・・む。これが私のやり方です・・。 |
|
りんごの容赦ない攻撃は悪魔たちを怯ませ、味方を勇気づけていますわ。 |
|
でも、いつも倒れていたらもたないと思うよ。 |
|
・・・・申し訳ありません。私の実力不足です。 |
|
実力不足というより力の配分が問題というか・・・ |
|
ぷい・・・。 |
|
あ・・ごめん。 |
|
まあ、拗ねてるりんごも可愛らしいこと。 |
|
・・・ファーリリナ・・。 |
|
ふふ、今度は照れた。 |
|
・・・・・・む。 |
|
りんごのお見舞いの部屋ではこんな和気藹々としたムードが始終続いた。 |
|
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー |
|
・・・・・・・。 |
|
・・・・・・・・・・・。 |
|
・・・・それでだ、お前の連れたちはどこにいった? |
|
・・・・そんなに気になるのですか? |
|
は?い、いや、気になるわけでは。 |
|
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 |
|
・・・・・・・・・・・・・・・・・。 |
|
(・・・・・な、なんなんだこの空気!めちゃくちゃやりづらい・・・) |
|
・・・なにか、言いましたか? |
|
!?・・・い、いや、別に。 |
|
(さっきの心の声に感づいたのか??・・・妙にするどい。) |
|
・・・じーーーーーーーーーっ |
|
(こいつ横目で見てるぞ・・、一見見ていないふりをしつつ
うっすらと横目で鋭い視線を送るという高度なテクニック・・・!) |
|
(あ、あわてるな、べつに、心が見透かされてるわけではないんだからな・・・!) |
|
とうし。 |
|
と、透視!? |
|
ねこ・・・・とうし・・・の輪投げ大会・・・と書いてあります。景品はウシでしょうか・・! |
|
は?・・・あ、ああ、夜店のことか。なんだ。 |
|
・・・・っていない!?どこだ!?まさか空間移動が!? |
|
・・・・ウシは当たらないそうです・・。 |
|
ギャッッ!!?おい!いきなり俺の背後に立つな!! |
|
・・・なぜです? |
|
常識的なコミュニケーションというものがあるだろ。背後の耳元でいきなりつぶやくのは常識的なコミュニケーションではない! |
|
・・・・ウシが・・・そんなに・・・きらいなんですか・・・。 |
|
はぁ・・??!誰もそんなこと言っとらんだろうが! |
|
それではウシが当たるよう天使の力をお貸しください。 |
|
な・・そんなことに天使の貴重な力が使えるか! |
|
・・・・・・・。・・・・・"そんな"こと? |
|
・・・・・・。す、すまん・・・・。 |
|
(なんなんだ、なんだこの調子狂う感じは・・!) |
|
天使とはすなわちすべての生き物に分けへ隔てない愛と恩恵を降り注ぐ者、 相違ありませんね? |
|
ん・・?あ・・ああ、まあな。 |
|
ならばウシへの愛が偽りでないと、内なる熱き言葉で語って証明してください。 800字未満は認めません。 |
|
・・・・・・・・・・・・・。 |
|
(・・・・な、何なんだこのめんどくさい女は!!?) |
|
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー |
|
えへへ♥よかったです・・ローザ先輩がいて! |
|
んもー、ヴァイリン、私も心配しちゃった☆ |
|
ぼくたちは大丈夫だったよ。ヴァイオレットは? |
|
え?あ、別に元気いっぱいですよ・・? |
|
・・・ふふ、それはよかった。 |
|
もう最初っから色んなメンツとくっついたり離れたりして、結局あんたたちと再会したってわけね。 |
|
えへへ、ノルディさんも一緒だったんですね。 |
|
あら、やけにうれしそうじゃない? |
|
・・・ええー?そうですか? |
|
・・・なんかわかんないんですけど、長い道のりを経てやっと再会出来たような喜びがあるんですよ。 |
|
なんかいいなぁやっぱり、こういうの。 |
|
こういう何気ない、当たり前の、あったかい感じがホントは掛け替えのない大切な宝物なんですよね。 |
|
・・・なに改まっていきなり。 |
|
私も思うわ~☆みんなで笑いあったりおしゃべりしたり、こういう時間ってとってもしあわせよね☆ |
|
はい、ローザ先輩と再び巡り会えて、ぼくうれしいです・・! |
|
うふふ、出会いの神様に感謝しないとね☆ |
|
出会いの神様? |
|
くっついたり離れたり、また巡り会ったり、縁ってふしぎよね~、
たまに言うのよね、出会いの神様が巡り会わせてくれたんだってね。 |
|
へぇ~~~、いっとき離れちゃったから、一緒にいるありがたみもわかるのかもですね。 |
|
その為に一時の別れがあるのかもね。 |
|
再会したら、今までよりもっと、しあわせい~~~っぱいですもんね~~! |
|
一時寂しくっても、後でめいっぱい喜びを味わうためのプレゼントなのかもね☆ |
|
プレゼントかぁ~~~。そうですよね。
ぼく、今度から一人になったときは、 ローザ先輩と再び巡り会えた時のこと考えて元気出します! |
|
そうね!その意気よヴァイリン☆ |
|
・・・・なんか照れくさい会話。 |
|
ハートが飛び交ってるわね。 |
|
ピスミ、あんたいたの。 |
|
いたにはいたのよ・・。発言するチャンスがなかっただけ。こんな雰囲気だもの。 |
|
天界もけっこー平和ね。 |
|
脳天気だけど、捨てたものじゃないわ。 |
|
あたしたちの、大事な場所。よね。 |
|
・・・・いつも当たり前のようにいるから気づかないけれど。 |
|
ちょっとは大切に思っておこうかな。天界の平和も。 |
|
安寧は、静けさと調和をもたらす大事なものよね。 |
|
じゃ、私はひとっ飛びしてくるわ。 |
|
・・・いってらっしゃい。 |
|
エキサイティングな夜を! |
|
安息の夜を。 |
|
―――――こうして、夏祭りの夜は、賑やかに幕を閉じたのでした。 |