-ステップ2・労働者と息子-

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あーぁ、労働だ、今日も労働だ。
親方にあれとこれとそれを命令されて、今日も仕事だ大仕事。

一昨日も昨日も今日も明日も明後日も明明後日も、ずっとずっと働き続けるのさ。
それが俺の宿命。それが俺の暮らし。息子は今何歳になったのか。最後に顔を見たのはいつだったか。
手紙,テガミ、手紙が届いたんだ、もうちょっとで払えない請求書と一緒に捨てるとこだった。
もうすぐ息子の誕生日。4歳になるのか早いもんだ。
あぁでもなんで、何でなんだ。俺は仕事明日も明後日も明明後日も。
休みなんて無い、休みたいなんて言えばお前は首だと親方が言う。
どうかもう少しだけ耐えてくれ。寂しいだろう俺も寂しい。
もう少しすれば給与も上がってほんの少しは楽な生活が。
ああ贅沢な暮らし。上等のパンにミルクを添えて、贅沢なバターなんてのもアリだ。
あの親方のように小太りして出っ張った腹になってみてぇもんだ。
出来が悪けりゃムチで部下を叩いてりゃいいんだ。楽なもんさ。
俺たちゃムチの傷跡で歩く時すら痛みが酷いってぇのによ。
ああ息子はどうしてるかな。俺の息子、明日で5歳か。
・・手紙が来ない。何も来ない。どうした、どうしたってんだ?
俺の唯一の楽しみは、親方の離れ倉庫からくすねたビールと手紙だけだってのに。
・・どうしたってんだ。俺の仕送りはちゃんと届いてるんだろうな?
ずっと帰ってないから、怒って手紙を寄越さなくなったのか。
それともアイツ、浮気でもしやがったか。まぁそんな余裕なんて無いだろうが。
明日は給料日だ。息子に5歳の誕生日、何かちょっとでも、良いオモチャを買ってやろう。
・・・あああ、なんてこった。こんなことってあるのか。
仕事場に閉じ込められた。このまま出られないのか。
・・火事?なんだって、そんな馬鹿な。俺たちを殺す気か?
どいつが火なんて持ち込んだんだここは火気厳禁だぞ。
こっちまで燃え移ったら一気に俺たちゃ灰だ。
ああ今日は、息子の誕生日。オモチャも買ってある。
超上等な木彫りのオモチャだ、周りにも自慢出来る。
ああなのに・・・どうしてこんな・・・熱いんだ。熱い。
ここは、灼熱地獄かよ。こんな終わり方って無いんじゃないか。
ああ、俺は、死ぬんだな。火気厳禁だって、言っといたのに。
親方め、管理を怠りやがって。俺ら労働者はいつも・・酷い目に・・。

・・・・ぐああああああ!
・・・ああああああ・・・、ああああ・・・・ああ・・。

・・・・・アア?

夢でも見てたのか。俺ァしがないカカシじゃねえか。
火気厳禁にゃ変わりはねぇがな、キハハハハッ!
息子がとっくに死んでたなんてよ、そんなの知らされてねぇよな。
有り金はたいて木彫りのオモチャなんて買ったって、全部無駄だったじゃねえか。

マア今となっちゃンなことどうだっていい!
今はモノスゴク踊りたいキブンだ!労働からも開放されて、ムチの傷の痛みからも開放されて。
何もかもハッピーで愉快さキハハハハハハッッ!
今までのは夢で、これからがぁ本番よ!
この身が引きちぎれるまでダンスだっ!
さあ夜が明けるまで、歌え踊れ、騒ぎまくれ!


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